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買う前に知っておきたい!面のサイズ、正しい付け方・選び方、値段の相場について

  • 2020年1月16日
  • 2022年4月15日
  • 剣道具
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面の部位と名称、役割について

剣道と聞くとまず思い浮かぶイメージは、面ですよね。古めかしい見た目ですが、それぞれの部位にはきちんと意味があります。こちらでは、面の部位とその名称、役割を紹介します。

面金(めんがね)面の「防護性」を担う

面のイメージをつくるあの金属部分は面金と呼ばれ、顔面を保護するという役割を果たしています。また、上から6、7本目部分を物見(ものみ)と呼び、視野を狭めないように間隔が広く作られています。

面金の素材としては主にチタン、合金のジュラルミンが多く用いられます。チタンは重く強度があり、ジュラルミンはチタンほど丈夫ではありませんが軽量です。どちらを選ぶかは個人の好みによって分かれますが、重いからといって動きにくいということはありません。重くても体にフィットしていれば動きを妨げることはないことがばんとう研究所で検証されています。

ちなみに面金のサイズはだいたい以下のようになっています。(※メーカーによって差があります)

横ひご12本(小学生の低学年向け・面サイズ58~62センチぐらい)
横ひご13本(小学生の高学年向け・面サイズ60~63センチぐらい)
横ひご14本の中型(女性向け・面サイズ62~65センチぐらい)
横ひご14本の普通(一般向け・面サイズ66~70センチぐらい)
横ひご14本の特大(一般向け・面サイズ70~72センチぐらい)
横ひご15本(一般向け・面サイズ72センチ以上)

面布団(めんぶとん)面の「防護性」を担う

面金を包むように取り付けられている紺色の部分は面布団と呼ばれ、そのクッション性で頭頂部から肩にかけての部位を保護する役割があります。綿やフェルトなど、クッション性のある素材が何層にも重なり、紺反(こんたん)と呼ばれる藍で染められた生地と補強用の生地をさらに重ね合わせ、圧縮して糸で刺していくことで布団となります。

クッション素材には厚手のフェルトや動物の毛を加工して作る毛氈(もうせん)、綿などが用いられています。防護性を高める役割と、剣道の動きを阻害しない厚み、柔らかさが求められます。

刺し方は、手で刺し込んでいく「手刺し防具」と特殊なミシンで刺し込む「ミシン刺し防具」があります。どちらの場合も刺し目の幅を調節することでクッション性と柔らかさのバランスを整えることができます。幅の狭いものを選ぶと、硬く丈夫なため長持ちします。しかし布団は比較的薄くなるので、クッション性に乏しいと感じることもあります。逆に幅の広いものを選ぶとクッション性が残り打たれた時の痛みは軽減され、フィット感も増しますが、耐久性は劣ります。幅の単位は手刺しが「分(ぶ)」ミシンが「ミリ」で表されます。ちなみに1分は約3ミリとなっています。また、値段については手刺しが比較的高価であり、刺し目が細かくなるほど高価になっていきます。

打突を受ける部分に当てられる補強用の生地は3種類あります。胴着と同じ布地でできた「織刺(おりざし)」、鹿の革を藍で染めた「紺革(こんかわ)」、鹿の革風に作られた「クラリーノ」が主に用いられています。特徴を以下のようにまとめました。

織刺の特徴

比較的安価。色落ちがある(染め直し可)。胴着との一体感が出ることからシンプルで飽きのこない風合いがある。

紺革の特徴

比較的高価。色落ちはあるが、馴染むほどに色合いの美しさが際立つ。肌触りの良さ、摩耗に対する強さがある。水気に弱いため汗をよくふき取り風通しの良い場所で保管する必要がある。

クラリーノの特徴

比較的安価。色落ちが少ない。汗に強いが摩耗には弱い。

面だけではなく、防具を選ぶ上で重要なのは、「防護性」と「フィット感」です。これらが特に必要とされるのが面布団です。「防護性」をかなえるには重厚さが、「フィット感」をかなえるには柔らかさが必要となります。丈夫で柔らかい、この矛盾をかなえる面が必ずあります。ぜひ一度剣道防具屋さんに足を運び、その機能性を確かめてみましょう。

内輪(うちわ) 面の「フィット感」を担う

面を被ろうとすると、内側に輪っかのような部分が見えると思います。丈夫な面金と布団を顔にピタッとフィットさせるための部品、それを内輪と呼びます。顔にピタッとつく部分ですので、素材にはビロードや綿などの抗菌生地が用いられています。面を買う際にはもちろんサイズを測りますが、この内輪のサイズが合わないと「面を付けると痛い」「なんとなく動きにくい」「面金から相手が見えにくい」原因となってしまいます。防具にストレスを感じながら剣道をするのはつらいでしょう。

サイズがちょっと合わなくても我慢して使えば大丈夫。と思っていませんか?内輪がフィットしていないと、物見が合わず、視界の悪い状態で剣道をすることになります。また、フィットしていない内輪が、頭痛やあごの痛みの原因になるのです。となると、じつは面の内輪をフィットさせることこそ、皆様がもっとも簡単に意識できることであり、そして自分らしく剣道に打ち込む上でもっとも重要なことなのです。

アゴ/ 突き垂(つきだれ) 面の「防護性」「デザイン性」を担う

突き垂はもちろん、突きの打突から喉を守る部位です。その裏には用心垂もあり、二枚体制で防護性を担っています。この突き垂を面金に対し喉側に斜めに取り付けることで首への負担を軽減してくれる職人もいます。

また、突き垂は面の芸術性を高める役割も持ちます。燭光(しょっこう)と呼ばれる刺繍の技術が詰まった部位でもあります。カタログからお好みのデザインを選ぶことはもちろん、オリジナルの燭光をオーダーできる剣道防具屋さんもありますので、気軽に相談してみましょう、自分の気持ちがこもった防具をつければ、気合倍増です。

面の付け方

各部位にこだわって選んだ面をフィットさせるためには、正しく頭に着装することが大切です。ここでは面と手ぬぐいの正しい付け方について説明します。

YouTubeチャンネル「剣道具の栄光武道具」さんの動画がわかりやすいので
紹介させていただきます。

簡単4ステップ!手ぬぐいの付け方 その1

  1. 中心を決める:手ぬぐいの端をそれぞれ両手で持ち、その中心が顔の前に来るように持つ
  2. 手ぬぐいを被る:手ぬぐいを持ったまま両手を後頭部へ引く
  3. 手ぬぐいを巻く:耳を出したまま、後ろに引いた手を片方ずつ顔の前を通り反対側の耳に持ってくる
  4. 顔にかかった手ぬぐいをめくり上げる:めくり上げた部分の先端は内側に折る

簡単4ステップ!手ぬぐいの付け方 その2 

  1. 中心を決める:手ぬぐいの端をそれぞれ両手で持ち、その下辺の中心をくわえる
  2. 手ぬぐいを被る:くわえたまま手ぬぐいを持った両手を後頭部へ引く
  3. 手ぬぐいを巻く:後頭部で交差させたら手ぬぐいの端をそれぞれ逆の手で持ち替え額の前で片手で押さえ、頭頂部の余りを同じく額の前に引っ張り押さえる
  4. 顔にかかった手ぬぐいをめくり上げる:交差部分と頭頂部の余りを額の前でいっぺんに押さえながらくわえていた部分をめくり上げる

簡単3ステップ! 面の付け方

  1. 手ぬぐい落ちないように気を付けながら、あごから顔を面に入れ、目を物見に合わせる
  2. 面の後ろ側で交差している紐を物見の後ろの真ん中に来るように調節し、面紐の端を持って強く締める
  3. 面金の上部分を押さえ面紐が緩まないようにしながら、後頭部に面紐を持って行き、蝶結びで固定する

付け終わったら、以下の項目を点検しましょう。

  • 面紐が真っすぐに整えられているか
  • 結び目が物見から後頭部に真っすぐ伸びた延長線上にあるか
  • 耳と面布団の間に、緩まない程度に隙間があるか(ない場合は指を入れ広げましょう)
  • 面紐の結び目からの長さが約40cm程度になっているか

動画で学ぶどこから見ても綺麗な面の付け方

ばんとうメンバーのみちのが紹介する、どこから見ても綺麗な面の付け方です。ぜひチェックしてみて下さい。

面のサイズと選び方

自分にピッタリの面を購入する際はもちろん頭のサイズを測ります。画像のように3か所を測定する場合と、あごから目までの高さを測定しない場合があります。ここではサイズ測定の意味と合わせて、自分に合う面の選び方について説明していきます。

選ぶ基準はフィット感!

ここまで面のさまざまな部位について説明してきましたが、選ぶ上でまず考えるべきは「フィット感」です。内輪のところで書いたように、サイズの合ってない面は「痛い」「見づらい」「動きづらい」の3拍子が揃ってしまいます。

この3つを避けるためには、買う際にきちんと頭のサイズを測定することが最も重要です。もちろん自分で測ることもできますが、お店でプロのアドバイスを受けながら採寸しサイズを決めていく方が間違いないといえます。測定する箇所は(1)はちまきを巻く部分(2)頭頂部から耳の前、あごを通った一周(3)あごから目までの3つです。それぞれの意味を下のようにまとめました。

(1)はちまき部分

着装時に後頭部がはみ出ないサイズを選ぶため。大きすぎる場合は面布団の幅を広く特注オーダーするのがおすすめです。

(2)ほっかむり部分(頭頂部~あごの一周)

内輪のサイズを決めます。内輪の素材は伸びるものが多いため、実測よりもやや小さめでオーダーするのがおすすめです。なお、内輪のサイズは購入後も調整が可能です。

(3)あごから目までの高さ

面金と内輪を付ける際、目線がちょうど物見の位置に来るようにするため。

既製品の防具は、いくつかのサイズをたいりょう生産しているため安価なものが多くなっています。一方、面布団の幅を特注したり、自分のサイズに合わせた防具を作る場合は割高となることが大半です。しかし、正しい姿勢で無理なく剣道をするためと考えると、むしろこだわるべきところはこだわれる特注がおすすめです。なお、面布団の長さも特注できる場合がほとんどです。

面の価格

面の価格は、手刺しかミシン刺しか、サイズオーダーがあるかないかなどによって変動してきます。「購入前に相場を知っておきたい」と思う気持ちももっともですが、なかなか相場価格を示すのも難しいものです。そこでこちらの記事では、ばんとう武道商店で面を購入されたお客様の事例をご紹介します。

未就学児(5歳):剣道初心者
これから剣道始める方 お父さんの影響で、小学校入学前に防具を作りに来てくださったお客さんの例です。防具を選ぶ際に気にされていたのは、(1)ある程度の成長に耐えうるサイズ感(2)手入れが簡単 の2つでした。結果的に丸洗いができるジャージの面を、現サイズよりも少し大きめで発注いただきました。
少年用 Tonbo air 面:17,600円

中学3年生(15歳):全国大会出場選手
中学3年生の時に個人戦で優勝、これから高校生に上がるタイミングで防具を作った方の例です。 防具を選ぶ際に気にされていたのは、練習用と試合用は明確に分けたいということでした。練習量も多いため劣化が早いのと、遠征が多いので自宅に置いておける防具と道場に置いておける防具を2つ持っておきたいとのことでした。 練習用には丸洗いができるジャージ防具の面と小手を。 試合用には、5mmの斜め刺し防具をフルセットで購入いただきました。
(練習用:Tonbo air 面¥25,300円
(試合用:斜無尽 面→現在は廃盤)

大学2年生(20):県内TOP選手
非常に練習量も多い大学体育会剣道部の方の例です。高校2年生から約4年間防具を買い替えておらず、監督に「見た目もちゃんとしなさい」と言われて相談をいただきました。大学卒業後のキャリアも「剣道を続けながら仕事をする」という軸で考えられていたため、ある程度ずっと使えるものを欲しいということでした。
勝敗にかなりコミットしているため、防具の選択軸は「フィット感」を第一に、人とは被らないものをということで、顎ヘリには毘沙門の曙光を入れ、飾り糸はこげ茶色に変更いたしました。
柔不動特注面:46,200円

以上が、ばんとう武道商店にいらっしゃったお客様の事例です。面は決して安い買い物ではありません。ぜひ武道具店に行って、自分が防具に求めるものや、予算感を伝えて相談してみてください。

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まとめ

いかがでしたか?ここで得た知識をもとに、明日にでもお店で理想の面を探してみたくなりますね。もちろん、剣道防具店ではどんな質問にも答えられるプロが皆様を待っています。皆様にぴったりの面が見つかることを祈っています。

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「ばんとう武道商店」個人にフィットするお店

神奈川県立武道館前の武道具店。竹刀の品揃えは日本一を誇っており、全てが完成品で試打可能。必ずあなたに合った最高の1本に出会えます。 "全身丸洗い可能なジャージ防具" や、"極厚だけれどもすでに近いコテ" など防具の品揃えも豊富なお店です。 「用具の総重量はどの競技よりも重たいのに、用具選びが感覚的である」ことに疑問を感じ、剣道を科学的に分析し用具作りなどにチャレンジしています。一般的に知られていない防具・竹刀の正しい選び方などについて、何でもご相談ください。