正しい剣道の知識は意外にも知られていません。本サイトでは【正しく】誰が見ても【分かりやすい】剣道に特化した情報を配信していきます。

剣道手刺し防具の魅力・選び方! ミシン刺しとの違いについて解説

  • 2020年4月9日
  • 2020年10月28日
  • 剣道具
  • 7001view

手刺し防具とは

普通の防具とここが違う

手刺し防具には、普通の防具と大きく違う部分が2つあります。

1つめはクッション性、職人の手で力強く針を刺すことができるため、より多くの芯材を詰めた状態で防具が出来上がり、衝撃吸収性が高くなります。

2つめはフィット感です。密に詰められた芯材によって着装時のホールド感が高まり、動きやすくなります。

手刺し防具とはその名の通り、材料に手で糸を刺して縫い作られた防具です。「2分刺し」「1.5分刺し」などと表記されているのをよく見かけるかもしれませんが、これらの数字は防具の布団部分の糸と糸との間隔を指しています。1分がおよそ3ミリなので、2分刺しは約6ミリ、1.5分刺しは約4.5ミリ間隔で刺していることになります。

刺し幅の捉え方は人それぞれですが、一般的には刺し幅が広いほどクッション性が高まり厚みのある仕上がりに、刺し幅が狭いほど形がつけやすくシャープな仕上がりになります。

刺し幅が広い → 厚みがある仕上がり
刺し幅が狭い → 薄くて形がつけやすい

また、刺し幅は狭いほど糸を刺し込む数が増えるため、高価な物が多くなります。ミシンで刺したものに比べて手間のかかる作り方であるため、製作期間も比較的長くなることが多いです。

手刺し防具の魅力

クッション性やフィット感など機能性の高い手刺し防具ですが、すべてが職人さんによる手作業で作られています。

1人の職人さんが全ての作業を行う場合、完成に1~2年かかる防具もあります。(通常は分業制で行うことが多いので、納期は3〜4ヶ月のものが多いです。)

もちろん、機能性だけではなく、その仕上がりの美しさも群を抜いています。しっかりと詰め込まれた芯材によりできる凹凸は、他の防具にはない雰囲気を醸し出し、高級感さえ漂います。他にはない特別な防具、それが手刺し防具なのです。

ミシン刺し防具とは

ミシン刺し防具とは、材料を専用のミシンで縫い合わせて作った防具です。手刺しと同様、「4ミリ刺し」や「8ミリ刺し」といった数字を見かけるかと思いますが、こちらもミシンで縫った糸の間隔のことを刺しています。刺し幅が広ければ衝撃吸収力に優れ、刺し幅が狭ければ形が付けやすくなります。刺し幅によって値段や製作期間に大きな差が出ることはありません。

手刺し防具とミシン刺し防具の違い

糸の刺し方に大きな違いがある手刺し防具とミシン刺し防具ですが、ここでは防具を選ぶ上で大切なポイント別にこの2つを比較していきます。

フィット感(着装時の動きやすさ)

防具を着けたとき、体にフィットしていないと、着けているだけで痛かったり、動きづらくなってしまいます。

フィット感は芯材の量に依存しますが、同じ量の芯材を入れ、同じくらいの刺し幅であると仮定すると、手刺し防具の方がフィット感があるといえます。

刺し方の違いにより布団に「さいの目状」の凹凸ができるため、着装時に低反発クッションに包まれているような感覚が得られます。といっても、昨今は防具の研究が進み、刺し幅の大きなミシン刺しでもフィット感の良いものもあります。

衝撃吸収力 / 強度

衝撃吸収力に関しては、手刺し防具の方が高いといえます。なぜなら中により多くの芯材を入れることができるからです。芯材を多く入れるとミシンでは糸を通しにくくなりますが、手刺しでは力強く刺せるのです。芯材が多い分布団により大きな凹凸ができ、高い衝撃吸収力を生み出します。

軽さ

軽さで比較すると、ミシン刺しに分があります。

手刺しの方が芯材の量を多く入れているためです。手刺しで軽量性を求めて芯材を減らすとなると、手刺しのメリットである衝撃吸収性が低くなってしまうため、おすすめできません。また、軽さを求めるよりも、フィット感を高めた方が、防護性が高まるだけでなく、動きやすいのでおすすめです。

値段

手刺し防具を作るためには手間と時間が多くかかっています。そのためどうしても値段が高くなります。人の手で面布団を1つ刺すのに3〜4か月かかるとも言われています。

反対に、比較的時間のかからないミシン刺しは生産数が多くなりますので、手刺しに比べ安価なものが多くあります。

高級感(刺し目の美しさ)

高級感については個人差があるかもしれませんが、刺し目の美しさで考えれば、手刺し防具には独特の魅力があります。縫い合わせた後にに引かれた線が刺し目の立体感を際立たせ、ミシン刺しにはない存在感を醸し出します。高段者の審査には、手刺し防具を着用する人が多く見られます。

手刺し防具の値段の相場は?

手刺し防具は数十万円以上する高価なものが多いですが、芯材の量や材料、生産方法の工夫等がなされ、最近ではネットで10万円もかからずに手刺し防具一式を購入することもできます。

この価格の差は、防具の機能性に大きく影響します。買った後で打たれると痛かったり、いまいちフィットしないという声も聞きます。値段ももちろん大切ですが、同時にクッション性やフィット感などを確かめることも重要です。お店で実物に触れてみるのがおすすめです。

手刺し防具は洗濯できる?

手刺し防具の洗濯ですが、結論から言うとおすすめできません。芯材を傷めてしまい、本来の柔らかさや、色合いの美しさを失ってしまう可能性があります。どうしても汚れやにおいが気になる場合は、専門の防具クリーニングに出してみると良いでしょう。

良い手刺し防具の選び方

刺し目の細かさではなく、刺し目が均等であるかどうかを見てみましょう。刺し目が均等であることは、職人さんの腕が良いということと考えられるので、質の良い手刺し防具と考えることができるでしょう。

まとめ

いかがでしたか。剣道の防具は大きな買い物です。手刺し防具となると、さらに高価なものが多くありますが、それだけ高い機能性が込められています。ぜひこの記事で得た情報を最大限に活かして、自分にぴったりな手刺し防具を選んでください。

onlinestore_crossing_banner
>「ばんとう武道商店」個人にフィットするお店

「ばんとう武道商店」個人にフィットするお店

神奈川県立武道館前の武道具店。竹刀の品揃えは日本一を誇っており、全てが完成品で試打可能。必ずあなたに合った最高の1本に出会えます。 "全身丸洗い可能なジャージ防具" や、"極厚だけれどもすでに近いコテ" など防具の品揃えも豊富なお店です。 「用具の総重量はどの競技よりも重たいのに、用具選びが感覚的である」ことに疑問を感じ、剣道を科学的に分析し用具作りなどにチャレンジしています。一般的に知られていない防具・竹刀の正しい選び方などについて、何でもご相談ください。