小手の基礎知識
小手(甲手・籠手)とは、剣道の防具の一種で手を保護してくれるものです。小手が自分の手に合っているかどうかで、竹刀の柄の握りやすさや力の入れやすさが格段に違ってきます。防具の中でも、最もプレーに影響を与えると言っても過言ではありません。
小手の各部位の名前
小手には、頭(あたま:拳の部分)、手の内(てのうち:手のひらに当たる革でできた部分)、筒(つつ:手首の部分)、布団(ふとん:前腕の部分)という部位があります。
頭は小手頭(こてがしら)とも呼びます。
小手のサイズの測り方
小手選びで最も大切なのはフィット感です。自分の手にフィットする小手を選ぶために、手の測り方を知っておきましょう。
測定箇所は以下の3つです。
- 中指の先から手首までの長さ
- 手の平から手の甲の周囲
- 親指を含めた手の甲の周囲
測定サイズによって、小手の基本サイズが決まります。
小手のサイズが合わないまま我慢して使い続けると、痛みや故障の原因になってしまいます。また、小手のサイズは竹刀を振る感覚に大きな影響を与えます。例えるならば靴のサイズです。小さい靴、大きい靴で走ると、マメが出来たり、靴ずれを起こしてしまいますね。それと同じように、小手のサイズが小さいと自由に力が入りませんし、大きいと手の内(手の平に触れる部分)にできたしわがマメをひどくする原因になってしまうのです。
通販でぴったりサイズの小手を買うには?
通販で小手を買うとき、通販サイトによってサイズの表記がバラバラということがよくあります。また、手のひらはぴったりきても、指の長さが足りなかったりして、稽古中に違和感があることも。
ばんとう武道商店では、このような悩みをなくすため、オンライン通話で一緒に細かくサイズ計測を行っています。
こうすることで、ネットでも自分に合ったサイズの小手が買えるようにしました。
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竹刀や防具に関するご相談からも、お気軽にお話ください。
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良い小手の選び方!3つの条件とは
手の内に大きな楕円ができるか
竹刀を握り方でもっとも力が入りやすいといわれているのが、親指と人差し指が画像のように楕円を描くような握り方です。この握り方は、手のひらと竹刀の接地面積をもっとも広くし、力を効率よく竹刀に伝えられるのです。付けたときにこの握りを崩さない小手を選ぶことがポイントとなります。
小手の内側にゆとりがあるか
竹刀を振るときに重要なのは、力を効率よく伝えることと、「なめらかに振ること」です。これを叶えるためには、手首を自由自在に動かせる「ゆとり」が必要となります。右の小手は、手首から頭にかけて角度がついており、小手の内側にゆとりがあります。
十分にゆとりがあると、スムーズな竹刀さばきが可能になります。小手を選ぶときには、このゆとりがあるかを気にしてみてください。
布団に十分な厚みがあるか
布団が厚くないと、小手を打たれたときに手が痛んでしまいます。それを防ぐためには布団に厚みのある小手を使いましょう。
自分では普通の厚さだと思っていても、実はもっと厚くて使いやすい小手があるかもしれません。剣道具屋さんに行って、布団の厚い小手を探してみてください。実際に手を入れて布団を触ってみたり、竹刀の打突を受けてみたりして、布団の厚さをチェックしましょう。
よくある小手の悩みを解決!
今使っている小手のサイズが合っていない
使っている小手のサイズが合っていないと気づいた場合、残念ながら新しい小手に買い替えるしかありません。小手はサイズ調整ができないので、購入時にはしっかりと計測して買うようにしましょう。
小手が新品なせいで硬くて痛い
自分に合ったサイズの小手でも、新品だと硬くて痛みを感じる場合があります。新品の小手はまるで新品のグローブのように硬く、特に頭(拳)と筒(手首)部分は竹刀の操作がしにくいです。
新品の小手が硬くて痛い場合、自分で木槌などで叩いて柔らかくしましょう。叩くときは、小手頭の部分を叩いてください。注意点として、小手が破けないように様子をみながら叩くようにしましょう。木槌の角を使ったり、強い力で何度も叩くと破けてしまうことがあります。
防具屋さんでやってくれることもあるので、確認してみると良いでしょう。
打突時の負担が強い
稽古をしていると、仲間の打突を受ける場面が必ずあります。個人差はありますが、布団部分にきちっと当てて一番負担を感じるのは小手でしょう。ある程度の負担ならば仕方がないのかもしれませんが、我慢し続ける必要もありません。
小手サポーターを使えば、小手のクッション性を高めることができます。竹刀がサポーターに当たれば衝撃をある程度軽減してくれます。しかし、その分厚みが増し、動きを邪魔してしまう可能性もあります。一度剣道具屋さんで確かめてみましょう。
小手が臭い時の原因と対策!洗濯できる小手について
剣道をはじめてしばらくすると、自分の防具が体になじんできて、フィット感が心地よくなってくるかと思います。使えば使うほどに防具が好きになる一方で、気になるのが臭いですね。特に小手に異変を感じる人も少なくないはずです。ここでは小手の臭いの原因と、その対策について説明していきます。
小手が臭くなる原因
小手は剣道防具の中で一番汗が付きやすく、そしてそれをふき取りにくいことが、臭いの大きな原因となっています。
汗が付きやすいのは面も同じですが、面の場合は内輪(被ったときに頬がつく部分)に手が届きやすいため、乾いた手ぬぐいなどですぐふき取れます。
しかし、小手は中が狭く拭き取りにくいため、どうしても手入れがしにくく、臭いも付きやすくなってしまいます。
小手の臭いを最小限に抑える対策
「小手は臭い」を少なくするには、以下の2つの方法があります。
- 小手用の手袋を付ける
- 洗える小手を使う
小手用の手袋(小手下汗取り手袋)
小手の下に装着する薄手の手袋です。400円程度と安価で購入できます。ただし、小手用手袋をつけたとしても、汗は少しずつ小手に蓄積していきます。また、小手で竹刀を握ったときの感触が変わってしまうというデメリットもあります。
洗える小手
洗える小手は、その名の通り丸洗いできる小手です。相場は2万円程度です。汗をしっかり流せますし、手袋のように感触が変わることもありません。何度洗ってもへたりにくいものや、1日で乾くものも売られています。
ばんとう武道商店で売っている洗える小手は「Tonbo air(トンボエアー)」という小手です。大人用と少年用があるのでぜひチェックしてみてください。
小手の手入れと修理について
稽古の回数を重ね、幾度となく打突に耐え、汗や汚れがたまってくると、小手の各パーツが破れたり、穴が開いたりします。特に手の内(手のひらが当たる部分)は最も傷みやすく、修理の頻度も比較的高くなります。ここでは小手を長持ちさせる手入れと、小手の修理で気を付けるべきポイントを説明します。
小手を長持ちさせる手入れ方法とは?
小手を長持ちさせるコツは以下の2つです。
- お互いに竹刀の故障がないか気をつける
- 稽古後に手の内のしわを伸ばし、汗をふき取り汚れを落とす(洗える小手の場合は洗う)
竹刀のささくれや割れた部分が当たれば、防具そのものを傷つけてしまいます。お互いの防具を傷つけないためにも、稽古の前と後には必ず竹刀の点検をしましょう。
稽古後の手入れについては、たまった汗などで小手の生地を弱らせないようにするのが目的です。風通しの良い日陰で乾かすことも忘れないようにしましょう。
小手は手の内が壊れやすい
小手の修理で多いのは、手の内に開いてしまった穴塞ぎと、手の内の張り替えです。手の内は特に気をつけて手入れしましょう。修理は防具屋さんでできます。
ばんとう武道商店で行っている小手の修理はこちら
ネットで修理依頼をし、店舗に持ってきていただくか郵送で対応いたします。
小さな穴であれば、自分で修理をする人もいます。革を買ってまつり縫いをして直します。
修理中用にスペアの小手があると便利
小手を修理に出す際、気になることがあると思います。そうです、稽古で使う小手がなくなってしまいます。修理期間でも稽古をする場合は、スペアの小手を1つ持っておくことをおすすめします。
小手を修理に出す前に、修理期間中の稽古で小手をどうするか考えておきましょう。
まとめ
小手は剣道の強さに影響を与える、重要な防具です。こちらの記事で紹介した良い小手の選び方を参考に、自分に合った小手を探してみてください。
また、臭いを抑えてくれる「洗える小手」など、剣道の悩みを解決してくれる防具が日々開発されています。剣道に関する悩みがあるときは、ぜひ防具屋さんに行って相談してみてください。