剣道の歴史、段位や昇段審査、ルール、剣道具や竹刀の基礎知識、年齢別にみる剣道悩み、中学・高校生・大学で剣道を続けたい方が必ず悩む進路のことなど、剣道に関する基本的な情報を分かりやすくまとめてました。剣道をこれから始める初心者の方や剣道観戦をもっと楽しみたい方にとって、ためになる情報が見つかること間違いなしです。
始まりは日本刀?剣道の歴史は やはり“武士”と深く繋がっていた!
日本人にとって古くから馴染みのある剣道。現在では、学校の授業でも採用されるなど、経験したことがある方も多いのではないでしょうか。こちらでは、剣道の誕生、発展、現在に至るまでの歴史を分かりやすく紹介します。
剣道の誕生
〜日本刀は、武器から鍛錬の道具へ〜
日本固有の鍛冶製法によって作られた反りのある美しい日本刀が誕生したのは、平安時代末期頃と言われています。戦争用の武器として製造された日本刀ですが、鉄砲の伝来や、江戸幕府が開かれて平和な時代が訪れるにつれて「殺すための道具」から「人間形成を目指す道具(活人剣)」へと変化を遂げていきました。剣術が人を殺す技術ではなく、人間形成を目指すものとして広がっていき、今の剣道となっていると言えます。
剣道の発展
〜稽古法や道具の発展、時代の流れによる衰退と復活〜
剣道が発展していく過程には、いくつか重要なターニングポイントが存在します。
まず最初の基軸となったのは直心影流の長沼四郎左衛門国郷です。江戸時代(宝暦)に「剣道具(防具の開発)」と「打込み稽古法(=当時の竹刀を使った実戦式の稽古法)」を確立したことにより、技や稽古法が大いに進歩しました。これこそが、現在行われている剣道の原型となったと言われています。
江戸時代後期には、現在の竹刀の形に近い「四つ割り竹刀」が発明されました。また、胴の開発も進み、なめし革を貼ったり、漆で固めたりしたものが誕生したのもこの時期だそうです。またこの頃、北辰一刀流の千葉周作により、剣道の体系化がはかられ大きく進歩しました。千葉周作は、分析の能力に優れており、兵法から原理・技術を分析した結果「剣術六十八手」を確立させました。この「剣術六十八手」では、打突部位別に竹刀打ち剣術の技を体系化しており、これは現在の剣道でも実践されています。
明治維新の頃になると、武士階級廃止と帯刀禁止されたことにより、剣術は低迷の一途を辿ります。しかし、西郷隆盛を盟主にして起こった士族による武力反乱である西南戦争にて抜刀隊(警視隊から選抜された部隊)が活躍したことを契機に、剣術の価値が見直され、警察において剣術が奨励されることとなりました。このことは、現在も日本剣道界において、最大勢力を誇る警察剣道の発端でもあります。
大正に入り、現在の剣道における形稽古(芸道・武道・武術等における形を磨く為の稽古)である「大日本帝国剣道形」が制定されたことにより、全国に数百あった流派を統合しました(戦後には、「日本剣道形」と名称を変更)。大正8年、ついに呼び名を「剣道」と統一し今でもその呼び名で親しまれています。
剣道の現在
〜年齢性別問わず幅広く愛される剣道、日本から世界へ〜
第2次世界大戦後、「全日本剣道連盟」が結成され日本中に広まっていくこととなります。現在では、学校体育や老若男女問わず、民衆の間に広がり幅広い年齢層の愛好家が竹刀を持ち、稽古に励んでいます。
また、その人気は日本国内だけにはとどまらず、世界各地でも愛されるようになってきています。1970年(昭和45)には第一回世界剣道選手権大会も開催されました。2019年現在では、56ヶ国・地域から622名の選手が集まるそうです。
剣道の実力は、大会実績だけじゃない?奥深い「段位」の世界
剣道は、勝敗を争うだけでなく、技術水準や修行の成果を表わす格付けも行われます。そのため、単純な強さだけでなく技術力・精神力・芸術性といった要素も大切とされています。その審査条件、試験内容、級位、段位、称号についてを説明します。
級位・段位・称号を決める「昇級位審査」「昇段審査」「称号審査」と受審資格
剣道の格付けは、三級〜一級までの「級位」、初段〜八段までの「段位」、および錬士・教士・範士の「称号」によって表されます。
まず、昇級位審査では、「級位」を決定します。
昇級位審査は、昇段審査を受審するために、正しい基本が身に付いているかを確認するための審査です。初段の受審条件に満たない13歳未満の小・中学生、または、初段の受審を希望する大人を主に対象とした審査です。
次に、昇段審査では、「段位」を決定します。
昇段審査は、剣道の技術的力量(精神的要素を含む)を試すための審査です。一級取得後、各段位ごとに定められた条件を満たすことにより、次々と上の段位を受審することが可能になります。
最後に、称号審査では、「称号」を決定します。
称号審査は、段位で必要とされる技術に加え、指導力や、識見などを備えた剣道人としての完成度を示すための審査です。六段取得以降、各称号ごとに定められた条件を満たすことにより、受審することが可能になります。
以下、級位・段位・称号ごとの受審資格です。
各級位・段位・称号の受審資格
段位(級位) | 必要段位(級位) | 必要修業年限 | 受講可能年齢 | その他条件(★特例) |
三級 | 規定なし | 規定なし | 加盟団体の規定に準ずる | 受審するために地方代表団体への登録必須 |
二級 | 規定なし | 規定なし | 加盟団体の規定に準ずる | 受審するために地方代表団体への登録必須 |
一級 | 規定なし | 規定なし | 加盟団体の規定に準ずる | 受審するために地方代表団体への登録必須 |
初段 | 一級 | 規定なし | 満13歳以上 | ※1 |
二段 | 初段 | 初段取得後1年 | 14歳以上 | (★35歳以上は、地方代表団体長の認可があれば受審可能)※1 |
三段 | 二段 | 二段取得後2年 | 16歳以上 | (★40歳以上は、地方代表団体長の認可があれば受審可能)※1 |
四段 | 三段 | 三段取得後3年 | 19歳以上 | (★45歳以上は、地方代表団体長の認可があれば受審可能)※1 |
五段 | 四段 | 四段取得後4年 | 23歳以上 | (★50歳以上は、地方代表団体長の認可があれば受審可能)※1 |
六段 | 五段 | 五段取得後5年 | 28歳以上 | |
七段 | 六段 | 六段取得後6年 | 34歳以上 | |
八段 | 七段 | 七段取得後10年 | 46歳以上 | 46歳以上の年齢規定あり |
錬士 | 六段 | 別に定める年限経過後 | – | 地方代表団体での選考と長からの推薦必須 |
教士 | 錬士 七段 | 別に定める年限経過後 | – | 地方代表団体での選考と長からの推薦必須 |
範士 | 教士 八段 | 八段取得後8年 | – | 地方代表団体での選考と長からの推薦必須 |
※1 その他の特例として、特に優秀と認められた者に限り、初段〜五段を通常よりも短い修業年限にて受審することが可能です
「昇級位審査」「昇段審査」「称号審査」の試験内容
昇級位審査の試験内容
まず昇級位審査は、全日本剣道連盟が地方代表団体に委任しているため、具体的な試験内容や条件は地域によって異なります。そのため、昇級位審査を受ける前に各自で登録している地方代表団体に確認をする必要があります。また、審査を受けるにあたり地方代表団体の個人会員になる必要がありますので、こちらの登録も忘れないようにしましょう。(学校や道場に所属している場合は、すでに登録されている場合が一般的なので確認をしてみましょう)
以下、全日本剣道連盟が定める級位審査方法の細則です。受けたい級位の審査範囲は事前に確認しておくと良いでしょう。
(級位審査の方法)
全日本剣道連盟『称号・段位審査規則 称号・段位審査細則』
第18条 規則第24条第1項の「実技」は、次の各号で定めるところにより行うものとする。
1 一級 剣道の基本並びに木刀による剣道基本技稽古法「基本1から9まで」
2 二級 剣道の基本並びに木刀による剣道基本技稽古法「基本1から6まで」
3 三級 剣道の基本並びに木刀による剣道基本技稽古法「基本1から4まで」
これらからも分かる通り、昇級位審査を通過するために大切なポイントは基本的なことがきちんとできるかどうかです。
・基本通りに打つ
・大きな声を出す
・美しい着装を心がける
上記のポイントをしっかりと意識しつつ審査に臨みましょう。
昇段審査の試験内容
次に昇段審査の試験内容についてです。
どの段位も試験は以下の3要素で構成されています。
(1)実技試験
(2)剣道形試験
(3)学科試験
(1)から順番に試験を受けていき、落ちるとその場で試験が終了してしまうので、次の試験には進むことができません。
最も大切と言われている(1)の実技試験では、2人づつ審査員の前で試合形式を行います。試合のチャンスは2回あり、その2回の試合中に実力を発揮する必要があります。対戦相手は、同じ段位の受審者に対して審査番号(基本的には、生年月日順)が割り振られるため、その番号の前後の受審者と対戦することとなります。
この実技試験で大切なことは、ただ単に試合に勝つことではありません。全日本剣道連盟の公式ルールに定められている、正しい剣道(「ただ打突しただけでは無効?有効打突と判定されて初めて1本に」参照)を忠実に守り、戦う姿勢が大切とされています。
(1)に受かると(2)剣道形試験に進むことができます。
剣道形試験では、日本剣道形の試験で、太刀(たち)の形7本と小太刀(こたち)の形3本の合計10本の技から段位に応じて必要な本数を審査します。審査は、ペアで打太刀と仕太刀に分かれて行います。実技試験とは違い、竹刀ではなく木刀を使用します。試験当日まで、自分が打太刀か仕太刀かは分からないので、どちらもできるようになっておきましょう。
段位ごとに試験で必要な日本剣道形
段位 | 日本剣道形の項目 |
初段 | 1~3本目 |
二段 | 1~5本目 |
三段 | 1~7本目 |
四段以降 | 1~7本目+小太刀1~3本目 |
剣道形の修練を繰り返すことにより、剣道の基礎的な礼式、構え、間合い、攻め、打突、気合いといった、剣道の原理原則を会得することができます。そのため、日本剣道形は今日まで試験課題として出題されるほど重要とされています。
(2)に受かると最後の関門として(3)学科試験があります。
学科試験では、剣道の理念や練習の際意識することを理解できているかを問われます。問題の内容や試験形態は地域によって異なるため、自分が所属している剣道連盟ではどのような問題が出題されているのかを事前に確認しておきましょう。
称号審査
最後に、称号審査の試験方法についてです。
錬士(れんし)・教士(きょうし)は、小論文や筆記試験によって審査されます。試験内容は都度変化するため、全日本剣道連盟の試験要項を確認する必要があります。提出した内容を採点されたあと、審査会によって合否が決定されます。
また、範士(はんし)は、候補者の剣歴、職歴、指導者としての実績等の調査資料をもとに、審査会で協議され合否が決定されます。
試験にかかる費用
審査には、「受審料」と「登録料」があります。
受信料は、受験者全員が支払い、登録料は、合格者のみが支払います。
実際にかかる費用は、所属している剣道連盟によっても異なってくるため、登録している地域の費用を調べてみてください。
試験の難易度
剣道の試験の難易度は段位が上がるごとに難しくなっていきます。神奈川剣道連盟が発表した年間審査結果を参考にすると良くわかるのですが、特に四段以降難易度がぐっと上がります。
神奈川剣道連盟平成30年度 年間 審査結果
段位 | 受審者数 | 合格者 | 合格率 |
初段 | 2,237 | 2,094 | 94% |
二段 | 1,545 | 1,379 | 89% |
三段 | 705 | 592 | 84% |
四段 | 535 | 256 | 48% |
五段 | 524 | 173 | 33% |
六段 | 465 | 101 | 22% |
七段 | 323 | 68 | 21% |
八段 | 194 | 2 | 1% |
データ元:神奈川県剣道連盟発表資料
全国平成30年度 年間 審査結果
称号 | 受審者数 | 合格者 | 合格率 |
錬士 | 106 | 105 | 99% |
教士 | 56 | 56 | 100% |
範士 | – | – | – |
データ元:神奈川県剣道連盟発表資料
特に八段は合格率1%未満になることも少なくありません。
この数値からも分かるように、八段を取れるのはほんの一握りと言えます。
その中でも、範士を持っている人はさらに絞られてくるため、剣道界隈では雲の上のような存在とされています。
剣道のルールとは
全日本剣道連盟の公式ルールに定められているからといって、全ての大会において同じルールが適用されているわけではありません。また、剣道には芸術的な要素が含まれます。例えば、「技が決まったかどうか」の判断材料に技に美しさがあるかないかが入ってくるのです。そんな剣道の曖昧な部分を踏まえつつ、ルールを解説していきます。
ルールを学ぶ前に!剣道の勝敗は、技術力と芸術性の総合点で決まる
剣道をこれから始める方にまず知っておいて欲しいことは、剣道の勝敗は、技術力と芸術性の総合点で決まるということです。どれだけ素晴らしい技を繰り出せても、そこに美しさが認められなければ一本はとれません。
ここでは、基本的なルールをさらいつつ、技術力と芸術性に重きを置いて確認していきましょう。
試合環境・剣道具・着装の規定
まずは、基礎的な規定から見ていきましょう。
どれも試合をするにあたり必要な知識なので、初めて試合に出る際にはぜひ覚えておきましょう。
場所 | 板張りの床で、1辺が約9〜11mの正方形または長方形を白線内で行われます。白線内の広さは、試合会場の広さやと試合数により決定されます。 |
試合時間 | 全日本剣道連盟の要項には「5分を基準とし、延長の場合は3分を基準」とありますが、実際は、各大会ごとに試合細則が決定されており必ずしもその通りではありません。例えば、大学生の試合では、試合時間4分で延長時間無制限の場合が多かったりもするようです。 |
竹刀 | 竹または全日本剣道連盟が認めた竹に代わる化学製品のものを使用する。竹刀の構造、長さ、重さ、つば(鍔)の規格などは、細則で定める。(年齢によって変わる) 竹刀を買う前に知っておきたい! サイズや重さの選び方から手入れまで |
剣道具/服装 | 剣道具は、面・小手・胴・垂を。服装は、剣道着・袴を着用することが義務付けられています。ルール上、剣道具や服装について上記以上の決まりはありませんが、剣道では、芸術性も勝敗を左右する一因のため、美しい身なりで試合に臨むことも大切です。 着装の美しさを強調するためには、以下のポイントにも気をつけると良いでしょう。・防具:全日本剣道連盟の規定にある着装方法に従う。剣道具のサイズが身丈に合っている。染色がはっきりしている。・道着:白、または濃紺である(何度も洗濯し、色落ちした道着は好ましくない) |
勝敗はどうやって決まるのか?
剣道は、3本勝負が原則です。試合時間内に2本先取した選手が勝ちとなります。ただし、試合には制限時間があるため、必ずしもこの勝ちパターンだけではありません。
試合終了時のパターン | 勝者 |
制限時間内に2本先取 | 2本先取した選手 |
制限時間内に1本だけ先取 | 1本先取した選手 |
制限時間内に1本も決まらない | 延長戦を行い、1本先取した選手または、審判の総合的な判定により決定 |
試合の際、原則として審判は3人いて、2人以上が旗をあげたら1本となります。審判は「棄権」をすることができます。2人が棄権をして1人が旗をあげたら1本です。
ただ打突しただけでは無効?有効打突と判定されて初めて1本に
剣道は、素晴らしい技が出せても、その技に美しさがないと1本と判定されません。正しく技が繰り出されていることに加え、攻撃時の気迫と攻撃後の油断のない姿勢が合わさって初めてその打突が有効である(有効打突)と認められるのです。
全日本剣道連盟の公式ルールでは、有効打突の定義を以下のように明記しています。
第2節 有効打突
剣道試合審判規則 (1編試合 第2章 12条)
[有効打突]
第12条
有効打突は、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする。
初めての方には単語が難しく分かりづらいので以下で解説していきます。
1 | 充実した気勢 | 攻撃時の気迫 |
2 | 適正な姿勢 | 打った瞬間の姿勢が整っている |
3 | 打突部 | 竹刀の先端(全体の1/4)の部分 |
4 | 打突部位 | 面、小手、胴、突きの決まっている部分 |
5 | 刃筋正しく | 弦の反対側で打っているか |
6 | 残心 | 攻撃後の油断のない姿勢 |
ここで言う、2 適正な姿勢、3 打突部、4 打突部位、5 刃筋正しくは明確で分かりやすいですが、1 充実した気勢や6 残心は審判の経験や感性により、判定が大きく左右される部分となってしまいます。
このように、ただ単純に技を競うのではなく、試合での姿勢や気迫も総合し勝敗が決まるのが剣道の醍醐味と言えるでしょう。
気になる反則の種類とは?精神部分での態度も反則の一因に
剣道の試合にももちろん反則があります。即退場になるレッドカード的な反則から、積み重なると相手に一本取られてしまうイエローカード的な反則までその種類はさまざまです。
反則の種類
(禁止物の使用・所持)
引用元:剣道試合審判規則・審判細則 第3章 禁止行為
第15条 禁止物質を使用もしくは所持し、または禁止方法を実施すること。
(非礼な言動)
第16条 審判員または相手に対し、非礼な言動をすること。
(諸禁止行為)
第17条 試合者、次の各号の行為をすること。
1. 定められた以外の用具(不正用具)を使用する。
2. 相手に足を掛けまた払う。
3. 相手を不当に場外に出す。
4. 試合中に場外に出る。
第15条から第17条1項までの禁止行為をおこなうと、一発で勝負あり(即退場)となります。第17条2項以下の項目での禁止行為だと、反則1回にカウントされ、2回反則が認められた場合は、相手に1本取られることとなります。
その他にも反則行為はたくさんあります。詳細は、剣道試合審判規則・審判細則 第3章 禁止行為を確認してみましょう。
実際に試合に出て悔しい思いをしないためにも、よくある反則については頭に入れておくと安心です。
初めてならまずここを読もう!剣道具・竹刀の基礎知識
ここからは、剣道具の種類・役割について簡単にまとめいます。
剣道に必要な道具とは?
面
面には、頭と喉を守る役割があります。
見た目が特に格好良いパーツではありますが、安全に競技するために最も気を使うべき部分であると言えるでしょう。
甲手
手から腕までを守る役割があります。
竹刀の操作性に直接関わるので、試合の勝敗を最も大きく左右する部分であるといっても過言ではありません。
胴
胴体部分を守る役割があります。
色や模様などの個性を出せる部分のため、剣道具の中では、最もデザイン要素の強い道具であると言えます
垂
腰や急所を守る役割があります。
タレ紐を締めると、下腹部が支えられ、力が入りやすくなるので、競技をサポートする役割としても活躍します。
竹刀
竹刀の種類は無限にあります。
竹の素材、太さ、形、重心の位置によって打ち心地が大きく変わってきます。自分のプレースタイルを把握した上で、練習や試合など、用途に合わせて自分にあったものを選びましょう。
年齢によって異なる剣道悩み!年齢による防具や竹刀の選び方もご紹介
年齢により環境が変わるごとに、剣道に対する悩みの種類も異なってくるようです。そんなよくあるお悩みを年代別にまとめてみました。
小学生 〜防具はいつ頃から必要?剣道は小さい子供でも危なくないの?〜
防具を買い始める時期は、人によりさまざまですが、一般的には素振りや足さばきなど、基本動作を一通り覚えたのちに購入を検討する方が多いようです。とはいえ先生の指導方針にもよるので、実際に稽古をしている道場の先生に相談をしてみると良いかもしれません。
小さいからこそ防具を選ぶ上で絶対に外してはいけないポイントがあります。
まず、小学生は、自分よりも圧倒的に体格の大きい小学校高学年の生徒や中学生、大人と稽古することも少なくありません。そのため、稽古中は強い力で打たれることが多いです。このことから、体を守ることを一番に考え剣道具を選ぶべきだと言えます。
購入時に気をつけたいポイントとしては以下2点です。
・面、甲手の布団部分の厚み
・剣道具のサイズ
面、甲手は、動きやすいものが良いからと言って、布団部分が薄くて軽いものを買いがちですが、実際は布団部分に厚みのあるものを選ぶことがおすすめです。布団は厚みがあり良い芯材を使用するほど、より衝撃を吸収してくれるので、安心して稽古をすることができます。
また、小学生の防具を購入する際によく見かけるのが、成長を加味して大きい防具を買ってしまうということです。大きすぎる防具は、小さい子供にとってはとても動きにくく、競技中の動作を大きく妨げてしまいます。また、特に面に関しては、動くと頭と面の間に空間ができてしまうため、一番大切な頭を適切に守ることが難しくなってしまいます。
剣道をしていると、強い衝撃により剣道難聴になってしまうケースもあります。安全性には気をつけて購入を検討しましょう。購入する際は、実際に剣道具屋に足を運び、剣道具の布団の厚みや芯材についての情報をヒアリングし、安全性の高いものを選ぶようにしましょう。
中学生 〜防具や竹刀はどのように選ぶべき?剣道軸で考える高校進学体験談〜
中学生は、小学生の時よりも練習量が増えることがほとんどです。
その点を踏まえると、剣道具選びのポイントしては、耐久性に重きを置くことをおすすめします。耐久性が高いとは、布団が厚く、洗ってもヘタりにくいものを指します。購入する際は、実際に剣道具屋へ行き、耐久性のある剣道具にはどんなものがあるかを相談をしてみると良いでしょう。
中学生が使う竹刀のサイズは、全日本剣道連盟の規定により決められています。この規定のサイズでないと、検量(竹刀の長さや重さ等を計測すること)のある試合に出場することができないので間違えて買わないように注意しましょう。
長さ:3尺7寸(37と記載) 重さ:男子:440g以上、女子:400g以上 先端部最少直径:男子:25mm以上、女子:24mm以上 ちくとう最少直径:男子:20mm以上、女子:19mm以上
男子中学生の規程を満たした竹刀を見てみる
女子中学生の規程を満たした竹刀を見てみる
中学生にもなってくると当然卒業後の進路悩む時期があります。
剣道強豪校へ行くのか、それとも進学校へ行きつつ剣道も続けていくのかなど悩んでしまうポイントも多いのではないでしょうか。
以下、ばんとう武道商店の店長鷹箸が高校進学を考えていた時の体験談です。
あくまでも高校を実際に選ぶ際の一例として、掲載しておきます。
高校を選択する上での主軸は「大学進学」にあったため、メインの軸としては、進学校をベースに探しました。とは言え剣道も大好きであったため、剣道も強いところに行きたく「進学校」かつ「関東大会」出場校という軸で学校を選択しました。結果的には、高校3年間を通して関東大会への出場には一歩届かず、団体県内ベスト16、個人は県内ベスト8で終わってしまいましたが、剣道・勉学どちらも頑張ったからこそ、充実した学生生活を送ることができたと思っています。 |
高校生 〜防具はサイズ感を意識して選ぶべし!道具の選び方、高校初心者や進路等〜
中学生の時よりも成長が落ち着く人が多いので、「サイズ感」を重視し、自分の体型にあった防具を使うことをおすすめします。また、練習量も多いため、試合用と練習用で二つの道具を使い分ける人も増え始めるのもこの時期です。
自分のサイズにあった道具を使うとは、技術力を高めることにつながります。しかし、自分に合った道具を選択し、使用している人は意外にも少ないのです。
例えば甲手を例にあげて説明してみましょう。指の長さや厚みは千差万別のため、S、M、Lのような既製品サイズでは自分にぴったな甲手に出会うことはなかなか難しいです。
自分の手の形にぴったりな甲手を使うと、打突時に自分の力が余すことなく相手に伝わります。反対に窮屈さや不要な隙間を残したまま打突をすれば、素手で打突するのとは全く異なる力の伝わり方をしてしまいます。このように、サイズ感は、操作性に大きく関わり、勝敗を左右することもあるのです。
次に高校生が使う竹刀のサイズも、全日本剣道連盟の規定により決められています。この規定のサイズでないと、検量(竹刀の長さや重さ等を計測すること)のある試合に出場することができないので間違えて買わないように注意しましょう。
長さ:3尺8寸(38と記載)の竹刀 重さ:男子:480g以上、女子:420g以上 先端部最少直径:男子:26mm以上、女子:25mm以上 ちくとう最少直径:男子:21mm以上、女子:20mm以上
男子高校生の規程を満たした竹刀を見てみる
女子高校生の規程を満たした竹刀を見てみる
高校から剣道をはじめる人は、正直そこまで多くはありません。しかし、剣道は、体力・筋力の衰えによりできなくなるスポーツではありません。高齢になっても続けることができる競技です。(80歳を超えて競技している方もたくさんいらっしゃいます)そのため、大人になってからはじめる人も多く、高校生だからといって遅すぎるということはありません。やってみたいと思ったらまず体験入部で顔を出し3年間頑張れそうな環境かどうかを自分の目で確かめてみると良いでしょう。
高校生になって、初めて進路に悩み、将来について真剣に考えたという人も多いのではないでしょうか。
以下、ばんとう武道商店の店長鷹箸が大学進学を考えていた時の体験談です。あくまでも大学を実際に選ぶ際の一例として、掲載しておきます。
高校では「進学校」「関東大会出場校」という二軸で選択していましたが、大学は、「就職」を視野に入れつつ剣道も力を入れたいと考えていたので、全日本学生選手権大会に出場している国公立大学を探しました。 結果的には1年浪人を経て国立大学へ行くことになり、全日本「出場」を目指して剣道をしました。進学した国立大学には、地方大会や全国大会を経験してきている先輩や同期、後輩がたくさんいたので、全国大会への出場も現実的に思え、真剣に稽古に励みました。結果的に、2年次、4年次で全国大会出場をかけた敗者復活戦までは進出したのですが、一歩及ばず目標達成とはなりませんでした。私学のエース達に本気で勝とうとチームがまとまり、自分達でメニューを考えそれらを徹底したので、悔しさも相当なものでした。4年次に負けた時には剣道とは距離を置きたいという思いにかられ、就職後3年間はOB会や地元の新年稽古会で年に1、2回やる程度になっていました。 しかし当時頑張った記憶は私の青春ですので、また剣道をやろう、むしろ剣道にもっと深く関わりたい。と考え今があります。結果を残すことはできませんでしたが、今の人生の糧になったのはこの期間の活動があったからだと思っています。 |
大学生 〜防具は練習量で選ぼう!道具の選び方や進路等〜
中高までとは異なり、進学先により練習量が多いところと少ないところに分かれます。自分の練習量や試合出場量に応じて防具を選択していきましょう。また、剣道具へのこだわりもだんだんと強くなるので、自分の個性で装飾を楽しむのも良いかもしれません。
大学生が使う竹刀のサイズも、全日本剣道連盟の規定により決められています。この規定のサイズでないと、検量(竹刀の長さや重さ等を計測すること)のある試合に出場することができないので間違えて買わないように注意しましょう。
長さ:3尺9寸(39と記載)の竹刀 重さ:男子:510g以上、女子:440g以上 先端部最少直径:男子:26mm以上、女子:25mm以上 ちくとう最少直径:男子:21mm以上、女子:20mm以上
男子大学生の規程を満たした竹刀を見てみる
女子大学生の規程を満たした竹刀を見てみる
以下、ばんとう武道商店の店長鷹箸が就職を考えていた時の体験談です。
あくまでも一例として、掲載しておきます。
社会人になってからの3年間は剣道をほとんど行いませんでした。しかし所属する区の試合に出場したり後輩の試合を見たりしたことで、剣道熱が再燃しました。剣道を本格的に再開するとともに剣道にもっと深く関わって仕事をしたいと決意しました。社会人となり、勝ち負けだけではない剣道を知り、今までとは異なる考え方で剣道をするのも面白いと最近では感じています。 |
社会人 〜防具は練習量で選ぼう!道具の選び方や進路等〜
学生時代の競技としての剣道から、趣味としての剣道へ移行する人が大半を占めており、「競技のための必需品」としてではなく、「防具そのものを楽しむ」という嗜好にシフトしていきます。金銭的な余裕も学生時代と比べて出てくるため、ミシン刺しから手刺しへ変えたり、装飾性を重視して楽しんだりする人も増えてきます。
社会人になると、仕事の合間を縫って剣道をする人が多いため、学生時代ほど頻繁に竹刀が折れたりすることは基本的にはありません。そのため、学生時代では手が出なかった、価格帯の高い竹刀を使う方も増えてきます。
社会人になって剣道をしている人のよくある悩みは、練習場所がなかなか見つからないということです。そんなときは、インターネットで練習できそうな場所が近所にないかを探してみましょう。特に所属をしていなくても、適切な指導者のもとで、単発で稽古をさせてもらえる場合があります。気になった練習場所が見つかれば、一度足を運んでみると良いかもしれません。
また、子供が剣道を始めたから興味がわいた、昔からやってみたかったけど機会がなかったなどの理由で、大人になってから剣道をはじめる方は意外と多いものです。初心者でも大丈夫だと言ってくれる道場は必ずあるので一度問い合わせをしてみると良いでしょう。
まとめ
剣道の歴史、段位や昇段審査、ルール、剣道具や竹刀の基礎知識、年齢別にみる剣道悩み、中学・高校生・大学で剣道を続けたい方が必ず悩む進路のことなど、剣道に関する基本的な情報について解説しました。